終着駅

一週間前、金曜日の晩、いつものように晩御飯を提げて、実家へ。
これもいつものように、ちょっとしんどそうな父との食事。
東洞院のヤオイチで買ったお寿司。
おきまりの阪神巨人の試合をふたりでみる。
この日は糸井の通算150本塁打となるソロで1-0で勝負が決まったのだが、
2回戦ほどおつきあいをして切り上げることにした。

そんなに多くは言葉を交わすわけではなく、「お大事にして下さいね」と言葉をかけ、実家を後にしたのだが、
次の朝、父は還らぬ人となった。

3人の倅を育て、母を送り、そして彼の終着駅。
その舞台であった我が家で。

あれから一週間が過ぎようとしている。
父が亡くなった日は予定していたライブの出番もさすがにかようなことはもうないので諦め、
霊安室に敷かれた馴染まない布団の枕に沈んで一晩を過ごしたのである。

「お疲れの出ませんように」と声をかけてくださる方がたくさんいたが、確かに疲れが取れない気がする。
まるで過ぎてしまうひとつの駅の佇まいなのかもわからないが、
それでも親子の関係というものを、いまはぼんやりみつめていて
そうこうするうちに、きっとまた僕は意味もなく早足でいつものように季節を駆け上がるはずなのである。