手ごね

愛犬の、11歳の誕生日、
人間には、ハンバーグを焼いた。

久しく、焼いていなかったので、手順が頭の中からすべて飛んでいた。
日々、同じものを作り続けるコックさんの仕事は、それだけで偉業だな、と感じる。

夕方のキッチンで、こんがらがって、オドオドしながらも、
最後の最後まで、僕は僕のハンバーグを、こねていたいものだ。
本当に、これでいいのかと、考えながら。

この地球上から、この家のあかりが
消えるその日まで。