【2004/11/6】
■二日分のca at 京都都雅都雅
あべれいこ師匠プロデュースのコーラスグループで「ふつかぶんのかるしうむ」と読む。メンバーに舞台人がいることもあるせいかライブは毎度満員である。私が生まれ育った環境においても所謂セミプロの役者がたくさん居て、ミュージシャンにおいてもそうなのだが、仲間の舞台は時間が許す限り足を運ぶ。お互いが舞台を続けることのマネジメントの辛さが分かっているから、なのだろうか、兎に角そういった飾らない心の通い合いみたいなものがあるように僕は思う。勝手な解釈かも知れないが、このグループの持っている「音」はどこか良い意味で懐かしい「京都的」である。 レパートリーの大半があべ師匠のペンによるものだが、相変わらずアイデア満載である。これだけのものを産みながら数十人にレッスンをしながら、DJもやりながら、ライブもやりながらである。一体どうやって時間をやりくりしているのだろう、と思う。 好き嫌いはあるかも知れないが、一見に値する、と思う。機会があるごとに 声を使って、表現して、そういった日々の前向きな取り組みの中にいる歌はこんな形にもなれるのだな、と思っていつも幸せに聴いているのである。
【2003/3/31】
■P`S at 京都Otherside
盟友、辻川みさ子のピアノDUO「P`S」のライブなのである。何時も舞台の上から見ている1/2をこうして客席から見上げているのは実に不思議な気分である。分散和音やモジュレーションを多用したドラマティックできめ細かな作品が並び、彼女が如何に真摯に音楽に向き合ってきたことかと今更ながらであるが唸らせられる。寄り添いつつ奏でる石川嬢のピアノも決してヴォーカルのテリトリーを浸食することはないが、それでいて同時に何にも代え難い包容力豊かな存在感を見せつけてくれるのである。
存外、有力なライバルとは身近にいるものだ。とはいってもこっちはどこの馬の骨とも分からない我流のギターおやぢに過ぎないのだけどね。ふふっ。
【2003/3/23】
■The Fox at 大阪・八戸ノ里・ピアニカ
思えば「天才バカボン」のキャラクターは凄い。いま思い出しても血が沸く感じ。あのパパとママが両親でバカボンとはじめちゃんが兄弟というこの極端な偏り。また、お巡りさんやレレレのおじさんやウナギイヌなど、果たして本当にストーリーに必要か?と思い悩んでしまうようなキャラクターが満載である。でも振り返ると、それはどこを切ってもファミリィそのものだし、またフレンドリィなのである。ママは「しょうがないパパね」といい、さらにパパはおきまりの「これでいいのだ」でメデタシ、であるが、この決まり文句は日常あらゆる場面で「これでいいのか?」と自問自答し 思い悩んでしまう子羊のような僕たちをヒトコトで癒してしまう魔法のキーワードなのだとこの頃思う。
Foxのユカさんの特徴的な風合いのギターと歌を聴いたとき。「この曲は何時転回するのだろぉ・・」と思いを巡らせている内に曲が終わってしまったり、「この不思議なブリッジはどう解決するのだろう」と思いを巡らせている内にもとのパターンに澄ました顔で戻っていたり。時にはハズしているのか ハズされているのか?それもこれもみんなバカボンパパの満足げな表情で「これでいいのだ」と言う風になる。それにしてもこれは仏の教えにも似た実は味わい深い言葉なのである。もう一度言ってみよう。これでいいのだ。
【2002/7/13】
■南 佳孝(Vo.G)+青柳 誠(Pf.Sax) at RAG
ステージに上がりほどなくGodinのガットギターを抱えたと思ったら ラグが柔らかなギターの音色と歌声に包まれるまで 多くの時間を要しなかった訳でございます。サポートミュージシャンに恵まれているヒトは 自分で楽器を奏でて居るところをあまり見ませんが、こういう機会に見るとやはり楽器もめっちゃうまい とビビってしまいます。ヴォーカルはもちろんピアノ・ギターも堪能とくれば 本当にわてらアマチュアは虫のような存在かな と思ってしまいます。
幸運なコトにこの日はステージの後 客席でくつろいでいるおふたりにも会えたのですが、ステージや音楽とも違わないダンディな語り口でした。ジャズ・ボサノバをカヴァーした近年の作品もグーなので良い子は買って聴きましょうね。あと 観客には綺麗どころのお姉さま方が多かった(青柳氏のファンも結構多い)のも印象的でした。
【2002/7/11】
■勝野 タカシ at 陰陽
彼は 長年京都を拠点に 駆け足はせず かといって長らく止まったりもせず 真面目に活動を続けてきたミュージシャンのひとり。近年は 弾き語りによるソロでの演奏がメインなのですが、このヒト、もともと打楽器奏者であることも要素として加わって、ブラジルやアイリッシュなどの影響と ヒトクセある歌詞と歌声とが融合して 実に独創的なスタイルを生み出しています。非常に若い時から お互いに知っていたのですが、いまでは僕はアーチストとして凛々しく鍛えられた彼に尊敬の念を持っているのです。
ただ 残念なコトにお客さんの入りはいつも少なく、毎度陰陽がとても広く思えます。
【2002/6/30】
■KAJA Vs 見原洋子 at RAG
この夜は前述の見原さんと KAJA & Jammin’のKAJA氏との対バン。珍しい組み合わせだったのだが、大先輩諸氏の活躍も見られるので なぜか筋肉痛の脚を庇いながら現地へ到着。
最近ボサノバに傾倒している見原さんのステージ この日は 見原洋子(Vo)+三好寛昭(G)+ 木村香真良(G)という編成。ボッサのツインギターというコトで参考になりました。木村さんは 始めてみましたが なかなかツボに入る感じのギターを弾くヒトだとお見受けしました。あとKAJAさんのライブも 面白かった。実物は始めてみましたが、顔が大きいのと チューニングが大まかだったので大層驚きました。五十川さんも 途中で変わる曲順(笑)に スティールギターと打楽器を交互に操り 他のゲストも交え 退屈しないステージでありました。
【2001/2/3】
■Wild Pan Tea at KYOTO MUSE HALL
見たことも聞いたこともないバンドのライブを見に行く機会なんてそうそうないけど、昔はそんなことよくあったっけなぁ。今回は、東京の友人がその友達の繋がりで、こっちでライブをやる東京の二組のバンドにくっついてきたという理由だけで、土曜の夜、街へ向かう電車に乗り込んだわけ。 で、そのうちの”Wild Pan Tea”という3リズム+女の子ボーカルのバンド、これが特に気に入ったので取り上げます。4月にデビューが決まっているそうです。初めての人に紹介するときって、「ナニナニみたいなバンド」って形容はよくやるし、それはそれで便利なのですが、ひとつ間違えると、聞く側に変な先入観を植え付けることになりますよね。で、僕は「ジュディマリ」がちょっとブルージーになった感じかな、と思ったんですが、これも弊害があるかも。やはり各自で確認していただかないと。
で、良いバンドです。凄く単純な言い方をすると、息があっているというか、音のある部分と、ない部分の切り口がざっくりして綺麗に切れている感じ。ブレイクとか、キメの部分に、集中力の違いをみせつけられます。花形のバンドと、そこいらのバンドの違いっていうのは、そのへんなのかもしれない。曲と曲との間合いとか、かなりシビアに詰めているはず。曲もいいし、ボーカルの朋子さんもかわいい。ギターの子も、先入観にとらわれず、自由に弾いている感じ。好感度大です。何よりも若い、っていうのでまず10ポイント獲得しているよなぁ、なんて思いながら帰途に着いたのでありました。HPもあります。みんなも応援してあげて。
【2000/12/6】
■晶 at KYOTO METRO
前途にも取り上げた「晶」が活動休止してしまった。これからは思いのこもった(しかも手書きのメッセージつきで)DMも手に入らないのだから、ちょっとザンネンであるが、保存するならイキのいいうちに冷凍庫に、と言うことかな、と複雑な理解をしたわけである。「喜怒哀楽」という言葉があるが、ロックンロールも突き詰めて行くと、表情の豊かで懐の深いところへとたどりつく。ハイテンションな演奏が、あまりにも短いステージの中で轟音のように突き抜けた後に、シュリンクするような後ろ姿は見たくないと願うとき、そういった意味で今夜の演奏は実に後味の良いものだったとおもう。
【2000/7/2】
■カエル★ポルカat Negaposi(陰陽)
以前の「ベティカーニバル」のゆきさん(最近ポルカさんと呼ばれているらしい)が、ソロになってカエル★ポルカになったのだ。それでも彼女はなお変わらずに独自のペースで音楽を続けている。BOSSのシーケンサーでカラオケを作り、それに合わせて一人でチープな楽器を奏でつつ歌を織り込んで行くスタイルは、以前のそれに比べてより大道芸人に近づいたような気がする。大道芸というのは、僕にとっては客を選ばない、誰でも受け入れることが出来る、それでいて誰もが楽しめるものだと思うが、それが当てはまるようになってはいないか。 ネガポジの入り口で山崎のオヤジが「今日はなんのバンドを見に来た」と問うので(これはギャラの分配があるからだ)「カエル★ポルカです」と返事をすると「おまえも変わった知り合いおんなぁ」と呟いていた。確かにポルカさんは風変わりな人であるが、ポルカさんの歌は、誰を揶揄する訳でもないし、機嫌を損ねるものもない。まずは曲の不思議さ加減を耳にして、その些細な楽しさの中に身を置いてみてほしいものである。
【2000/7/1】
■晶 at Rag
「あきら」と読む。今気になるバンドは?と聞かれて「ハイハイ、晶ですねー」と言ってしまいそう。凄く良いバンドなので、チェックするように。インターネットで知り合ったドラマーの芝原君が京都・滋賀を拠点にやっているバンドで、Voのあきよさん、Guitの甲斐さんを含め4名。とくにボーカルのあきよさんが良いと思うのだが、どうでしょう。「うた」で人の魂を揺さぶること、本来はこうあるべきものだったんじゃないかなぁと、おーえさんは考えさせられてしまいます。オムニバスなどの音源もあると思いますが、ここは是非ライブをお薦めします。いわゆる「ろつく」を演奏されていらっしゃるのですが、スリリングなドライブ感の中にも、ちょっとした緻密さを覗かせるのが、このバンドの非凡たる所以でしょう。こんなええバンドが転がっているなんて、京都も捨てたもんじゃないなと思うのだがね。
【99/8/3】
■岡本博文(G) at Rag
京都が誇る最後の大物ギタリスト、というキャッチコピーが気に入っているのか、彼のCDの帯にもそう記されているし、チラシの文面にも必ずそう記されている。確かに「大物」と言われるだけあって嵩が張っている。
この人は最近エレクトリックギターを弾かなくなった。僕が始めて彼のギターを聴いたのはまったくその日と同じ場所と席であって、彼は1曲目、あのEP
4の「クリスタルモンスター」というすさまじい曲で、轟音のようなギターを弾いていた。ちなみにソロの一発目は彼の右手は弦の上ではなく、そのシェクターのギターのトレモロアームの上にあったのだ。京都のポスト・モダン・フユージョンギタリストと認識していた僕のあばら骨はすべてその時に外れた。つぎに彼をステージで見たときは、変なスカをやるバンドで万国旗を振りながら踊っていた。
いま岡本サンのギターは、いろいろなものに触発され、変化を受けながらも、それでいてそのどれもに帰属することもなく、不思議なポジションにある。いろいろ眺めても、角度によってその輪郭が違って見える、特殊で、かつ整然とした味の果実のようだと思う。
この日もトリオ。バカボン鈴木(B)ヤヒロトモヒロ(Perc) 小編成に拘っている、というのではないが、少数で楽器の間合いを活かせるアンサンブルを、と考えているのかもしれない、と思わせるひとつひとつの音が印象的なライブだった。もちろん、彼無くしては私のギターは語れはしない。ティアドロップのピックを横に握るのも彼のやり方を真似したためで、厚かましくも未だに僕は彼の末弟子と名乗っている。
http://member.nifty.ne.jp/Hirokamoto/
【99/7/24】
■ベティカーニバル at サンホール
ジャングルライフの掲示板にライブの宣伝をしていたのを見て、それからのおつきあいである。いわゆるウマいバンドではないのだが、アンサンブルとかも丁寧にやっていて好感がもてるし、また彼女たちの作る歌が不思議にいいのだ。「えっ、それってどんなバンド?」と言われて「えーっねー、うー、なんだろうなぁ、ありゃ」という感じ。ホームページを主宰しているベースのゆっきーさんも、ネジは取れ気味であるが、とってもかわいい人なのでライブに足を運ぶといいと思います。うまく波に乗るとインディーで人気でるんじゃないかなぁ…。
http://www2.osk.3web.ne.jp/~yukippa/
【99/6/7】
■Shogo Hamada at 京都会館
えーと、この日はですね、ハマショーです。風俗刑事ではなく、ハマダショーゴという、歌手の人の演奏を見に行きました。もと若い人に人気があるそうです。
仕事を怒涛の速度で片づけ(疑問)タクシーに乗りこむ。「えーっと、京都会館まで」運転手曰く「なにか見に行かれるんですか?」「はぁ、浜田省吾という人の」「ほう、そうですかぁ」「なんや、ようわかっとらんのですが、キップがあまったっちゅうんで、買わされたんですわ」「京都会館と言えば僕もよく昔は行ったけどねえ」「何を見に行かれたんですか」「いやー、僕等の時代やから、裕次郎とか、ひばりとか」「そら結構ですなぁ、いまはなんぼ金積んでも見れませんからね」「それと、フォーク全盛の時代やったから、ほら、ピーター…」「はぁ、PPM!」「そうそう」・・
演奏は、さすが、ずしりとしたキャリアを感じさせる、バックアップミュージシャンの蹴っても転ばない鉄壁のアンサンブル、加えてやはりこの人は根っから歌うたいなのだ、上手いのだ、と唸らせる。退屈する間もなく時間があっというまに過ぎた。固定ファンをしっかりと掴んだベテランの力量。そして心配り。やはり歌の世界にも真のカスタマーサービスは存在するのである。また、時期が巡ってくれば行きたくなる、たとえファンでなくても多くはそう思うだろう。そうそう、ハネたグルーブがなんだかかわいい「モダンガール」は今晩のベストトラックであったと個人的には思うがどうかな。もちろん、バラッドもよかった。女の子たちはトロトロに溶けていたように思う。
【99/3/30】
■Out loopway Blues Band at Live at RAG
個人的にRag2連発dayの後半だ。昨日と同じようにゼスト御池(市役所前のショッピング街)を歩いてラグまでゆく。
Out loopのライブは二度目である。トリオ編成のブルースバンドで、ギターリスト+ボーカルの三田氏は木屋町のバー「Out loop
way」のマスターである。どっしりとした体格と、さっぱりした人柄で馴染みの客も多い・・わりにいつも空いているので、時間のある人は是非寄ってみてほしい。京都木屋町四条上ル東側 大西ビル5F 075
213
0160だ。朝4時ごろまでやっているはずだが、詳しくは店にきいとくれ。
さてさて、本筋のライブアクトであるが、折しも豪州凱旋ライブということで、なにやら外地のブルース・カーニバルに出演してきたらしい。そのハイ・テンションがそのまま続いているようなライブだった。三田氏のギターは、スピーディーで、かつリスキーで、ハードだ。今時、ここまでバリバリの男気を感じさせるギターリストはなかなかいないだろう。勿論、ボトム隊との息もばっちり。曲が終わったら間髪入れずに三田氏が次の曲のタイトルを呼びかけると、即座に曲が始まるのだ。
・・それにしてもストラトキャスターはやはり、人類今世紀最大、最高の発明だと思うが、どうかね?
【99/3/29】
■江崎 稔子 at Live at RAG
先週は外出する機会が少なく、たびたびの自炊にも少し飽きたので、DMが来ていた江崎さんのライブを再度チェックすることにした。月曜日の仕事を早い目に切り上げて会社を後にする。
今晩は対バン「みみずくず」もなかなかに活気に溢れた楽しいバンドだった。「良いバンドの条件は?」「雰囲気!」と僕なら即座に答えるだろう。演奏の細かいミスなどは、楽器をやっている人でないと気付かないことはあるが、コミニュケーションが不協和音を奏でれば、誰にだって直ぐ分かる。雰囲気が、音楽に影響する部分は計り知れないと思うのだ。
江崎稔子のバンドのメンバーは今日も服装が地味だ。というか平服だ。いや、人のことは言えない・・。しかし、特にベースの人の風体がなんともおかしい。あれでは犬の散歩ではないか…。しかし流石にアンサンブルはきっちりしている。複雑なコード進行の曲が多いようだが、ギター氏などは見事暗譜しているのだった。ついつい、指盤に目が行く。しかし、なんとも楽しげなライブだった。対バンの人もそうだが、歌うことが根っから好きな人たちの歌、という気がする。江崎の歌は、思いの外強かで、確かに静かな情熱を内包していたのである。ここ数日、気の滅入っていた私は、ほんの少し救われた気がして帰途についた。
・・しかしながら、風はまだ冷たいようだ。
【98/9/22】
■江崎 稔子 at Live at RAG
松本明子の出ている「チョーヤ梅酒紀州」のジングルでもお馴染み?の京都の歌姫、江崎のライブだ。実は対バンの「カルナヴァル」というバンドの人がメールをくれたのでチェックしにいったのだが、半分の目的はこちらでもあった。
彼女の作る曲は昔の吉田美奈子や山下達郎、シュガーベイブにも相通ずる、僕にとってはなつかしい香りでいっぱいだ。だからとても気になる存在なのだ。この日はもともとピアノとのDUOということだったが、急遽変更、たったの2週間の準備期間で、ということだが、バンドのメンツは強者ぞろい。さすがの気合いが入った演奏。パタリロみたいなルックスのギターリストも70年代後半の松原正樹をほうふつとさせる抜群の指裁き?であって、おいしゅうございました。
【98/9/13】
■Wilkinson Brothers at 拾得
従姉妹のやっている楽団「八幡スジ音楽団」とのカップリングだ。恩を売るため?に身内のライブ観戦はヒマさえあれば足を運ぶことにしている。
Wilkinson Brothersはピアノとウッドベースとエレキギターというマカ不思議なトリオだが、そのマカ不思議さは曲にも表れている。数々のインストゥルメンタルはどことなくエキセントリックで、かつ詩的で、音楽的なPleasureに包容されているように感じる。特にエレクトリック・ギターから繰り出されるそれは精巧な玩具のようだ。最後に一曲、ステージに従姉妹(ギンちゃんというステージ・ネームだが)が出てきて1曲。アコーディオンを奏でた。
なお、「ナイルの上流で牛を裁く」というCDが発表されている。
【98/8/15】
■Mint after dinner ABOUT CD RELEASE!
かねてから楽しみにしていたCDがリリースされたので、ヴァージンメガストアへ足を運んだ。タイトルは「Cloudy Sky」Mint After Dinner。
レーベルはLD&Kといってインディーでは最近けっこう力を持っているらしく、本作品はヴァージンでもインディーのコーナーの棚に二列×5段にずらりと並べられている。私も何を隠そうLD&Kのイヴェントの時にこのMintのサポートで出たのだ。知る人ぞしる京都「メトロ」での事だが、クラブでアコースティックギターを弾くという貴重な体験だった。
Mint After Dinnerといってもこれはもはやヴォーカリスト浅野 友紀子嬢のソロアルバムといった趣になった。前の作品は当時彼女自身がヴォーカルであったバンドであったメンバーの手で作られていて、そういった意味での空間の広がりがあったが、そういう意味では今回はいささか小ぶりな印象を受ける。でも、長らく今後も歌い続けるだろう彼女のリアルな一歩。今後が楽しみ。
【98/8/12】
■見原 洋子 at Negaposi
水曜日の朝、かったるい(しかもしんどい)水泳をさぼる口実として、僕は歯を磨きながらこのライブの観戦を思いついた。
彼女は僕がむかし足を良く運んでいたバンドのキーボーディストだった。いわゆる「まるぽちゃ・おっとり型」の格好のサンプルに堂々となれそうなキャラクターでどこか憎めない人だった。だが、そのバンドからは暫く後に脱退して、記憶の中の石ころのような存在になってしまっていた。
昨年の12月に浜田裕介がBAKUFU SLUMPのバーベQ和佐田氏のラジオのイベントに出たとき、同じ出演者の中に久しぶりに彼女を見かけた。なんと、鍵盤はひとにまかせて、歌っている。歌は決して巧いとは言えないが、前後の経緯がわからないだけに驚いた。チャンスがあったので話しかけて「以前ファンだったんですよねー」とおっさんまるだしの会話をした自分が恥ずかしかった。
12日のネガポジでのライブはベーシストの川辺ぺっぺい氏とのduoというこれまた意表を突くモノであった。ベースのダマになったようなコードアンサンブルの上をぎこちない歌声が浮遊する。怯えるように笑いかけ、まるで酸素が足りないかのように顔をくしゃくしゃにして歌い掛ける彼女の歌は清涼で、素朴で、ただではすまさない凄みがある。
「誕生日にもらったので一曲つくってみようとおもって」と間違えながらもカリンバで一曲。点と点を手繰り寄せるように和音が生まれ、暗闇に消えて行く。でもどこにも消えない一個の肉体と今夜の証拠がある。歌ってすばらしい…。
部屋に帰って寝る前にもう一度鏡をのぞきこんだとき、自分の髪の毛が少しはねていることに気がついた。