出雲の国を旅してみたら(1996)

◆1996年11月22日~24日◆
●わかりやすい?地図●

●11/22(金)●

日本交通バス  難波OCAT 22:20発

[なにゆえ、出雲?]

今年の誕生日には、出雲大社におまいりするぜっ!と思い立ったのは11月に入って から。何か縁起の良さそうなことがなくては….と以前自分の兄も僕と丁度同じ位の歳に その土地を訪れたことを考えて、久しぶりに小さな鞄をもって単身夜行バスに乗り込ん だ訳なのです。

仕事が終わってから、大阪に出て、心斎橋の「明治軒」で夕食。カウンターが空いてい なくて、仕方なくアベック(死語)と相席。この店は串カツとオムライスが有名で、そ のセット1.100円とビールを注文。オムライスは味がまろやかで風味がよい。女の子に おすすめ。

夜行バスの切符には51号車とあって、51台も連なってくるのか、と期待していたら、 さにあらず、連休前の追加車両の1台を加えた2台きりだった。おおえさんは「おやじ 添加物」50%であるから、冬場の外出には「ひざかけ」を忘れない。丁度このひざか けが役にたって、バスの中は狭いながらぼちぼち眠れた。往復夜行はちょっと辛いが、 なんといってもバスは安い。JRの特急なんか利用したら、2倍以上はかかる。バスなら 往復1万円でおつりがくるのです。京都発着ならもっといいのだけど….

(この後京都発着の夜行バス路線が出来たそうです)

●11/23(土)●

日本交通バス 米子 05:30着
JR.131D 〃 05:55発
〃 松江 06:25着
一畑バス 〃 07:19発
〃 松江温泉 07:34着

夜明け前の米子着。ほんまに寒い!しかし暖まる喫茶店もな~んにもない。駅の待合で ここでも「ひざかけ」をしてがたがた震えて始発をまつ。30分、まだ暖まっていない JRのディーゼル列車で移動。松江でさらに50分待つ。一畑のバスに乗り、一畑電鉄、 「松江温泉駅」到着。ほんまに時間待ちの多い旅やな~。

一畑電鉄 〃 08:04発
〃 川跡 08:55着
一畑電鉄・乗換 〃 08:56発
〃 出雲大社前 09:06着

[電車にのって]

松江温泉駅にて。

今回の旅のオプションとして重要なポイントを占めているのが、この「一畑電鉄に乗る 」というイベント(?)だった。
一畑電鉄は典型的なローカル私鉄だ。沿線の人口は少なく、これほど自家用車が普及し た平成の世の中に、なんで生き残れてこれたのだろう、と不思議にさえ感じる。
多くの地方の中小私鉄がそうであったように、一畑も積極的にバスを地元で走らせてい る。その中で、なにかと費用のかさむわりに、事業収入がふるわない鉄道部門は大きな 荷物だろう。しかし、この電車が一旦なくなってしまったら、地元の風景はまたどんな に淋しくなってしまうだろうか。

出雲大社前にて。

むかし鉄道雑誌のグラビアで見た記憶のある古めかしい電車は、いまは出雲大社に行く 支線を除いては現役を引退していて、大手私鉄から払い下げられた電車がきれいに手を 加えられたものが使われている(これもよくあるパターン。新造車は高いのだ)。しか し、支線を走っている旧型の車両はマニア垂涎の車両だろう、床は木で張られ、モータ が「吊掛」式の電車独特の「ゴゴゴ….」といった音、最悪のサス、お客はその揺れと共 にぐいぐいと振り回される。吊革は一斉に荷物棚にぶつかり、カチーン!と派手に音を 立てる。僕はなんだかうれしくなって、写真をとりまくってしまった。周囲からはどう みても、鉄道マニアだろうが、そういったことは、もう15年やってなかった。でも久 しぶりにそういった時間を楽しんだ。

[かみさまがわんさか]

二礼、四つ手をパンパンと打ち、また一礼。他の参拝客を横目で観察し、方法を会得し た。日本晴れ、とはいかないが気持ちのよい天気になった。

下調べなどしないで、ぶらっ、と出かけたようなかっこうだったが、訪れた日は丁度 「神在祭」の期間中だった。それも全国から800万の神様が、一遍にここに集まり、 サミットの最中、この期間にお参りすると、800万の神様に一度にお参りできるから お得!とう事情らしい。そりゃ、得、に越したことはないのだ。ラッキ~。
お守りもしっかり買って帰りました。いいことがあるといいな。

※出雲大社の目抜き通りは「表参道」というのだ。水谷 豊はいないが….(笑)

一畑バス 出雲大社前 11:05発
〃 日御崎 11:20着
[日御崎]

さらにバスに乗って20分、男性的な逞しい日本海の表情とそびえたつ奇岩の数々が 展望できます。周囲は格好の漁場で、岩によじ登っては釣り糸を垂れている釣り人 が数多く見て取れます。12月に入ると、ウミネコ達が渡来して子供を産み、また夏 前になると飛び立って行きます。また「経島」と呼ばれる岩の島があって、ここに は一般の人の立ち入りは禁じられています。それはそこが「神の島」とされている からです。年に一度だけ宮司さんが、お祭りの日に足を踏み入れることになっている ようです。

「経島」

まあ、特になにもないのです。そんなものです。威勢のいいのはイカ焼きをうりつ けるおばちゃんたちの呼び声ばかり。ぼんやりしていたら、おばちゃんの口車に乗 ってしまって、店の中に引きずり込まれてしまった。仕方なくテーブルチャージと 諦めて甘酒を注文。出てきたものはやたら薄い、ショウガ湯みたいなもの(こっち の甘酒はこんなものか?)う~ん、まずい!それも「熱いもん出せェ~!」と心で 叫んだ。350円也。

※バスプールのトイレ、手洗いの水道、水圧が異常に高い。それも一瞬で「バシュッ !」と終わる。あ~びっくりした。エアガンのようだった。

一畑バス 日御崎 13:15発
〃 出雲大社 13:35着
〃 〃 13:40発

[出雲市って街]

大社から出雲まで出れば、それなりに開けているだろうから、ちょっと買い物をした りヒマを潰してから帰ろう、ともくろんでいたのだが、その夢はちょっと壊れてしま った。だってなんにもないんでやんの!特急列車も発着するのに。
休日の昼間というのに目抜き通りに人がほとんど歩いていない。どのみせも暗く、お 化けが出そう…駅はよく見りゃ、中学生以下か、じいちゃんばあちゃんがやたら多い。 駅前には一畑百貨店があるが、とにかく寂れている。一応5階建てだが、なかに入っ て見ると、4階までしかエスカレーターがなく、そこから階段。什器もどうしようも なく古く、フロアの素地も強烈に時代錯誤。壁紙は灼けてところどころめくれ上がっ ている!1Fは電車の駅もかねているが、それもプラットフォームは屋根もないのが一 本あるだけ。わびしい!入ったトイレもこんどは以上に水圧が低かった。道理で前の お客さんのブツが残っていたはずだ。もちろん僕も暫く出て行けなかった。

こんな出雲市駅も現在高架にする工事中だ。その意義は?よく分からんが多分駅前通 を郊外の道路と直結して少しでも便をはかろうというのだろう。
そういえば、この街の子供達は何をして遊んでいるのだろうか。

出雲大社近辺の紅葉

JR 出雲市 15:03発
〃 米子 16:30着
日本交通バス  米子 22:00発
駆け足の旅も米子でおしまい。米子はまあまあ、大きな街でメーンストリートも片側2 車線ある。ぱっとはしていないが歓楽街のようなものもあった。高島屋があるんです から。北海道物産展の広告が目に留まったので覗いてみる。実に狭い催場だ!そして あまりにもお客さんが居なくてヒマそうだ。
お茶と夕食はそのまま高島屋でとってかえる。ここで合計3時間を 潰した。22時のバスなのに、16時30分に予定が済んでしまったからだ。

●11/24(日)●

日本交通バス  難波OCAT 05:00着

5時に難波に着いた。さぶ~。まだ御堂筋線は走っていなかった。梅田までやっとでる と、阪急は普通電車しかまだ走っていなかった。各駅停車で京都まで帰ったのは初体験 だった。

※出雲大社のトイレにて。神社だと「ジェントルマン」の表示もこのように様変わり。