10年と少し前、
その頃は八月になると決まって
仲間たちと丹後半島に海水浴に出かけた
その場所は夜になると本当になんにもなくて
空の缶ビールを転がしながら眠りについたのだ
仲間の中には前に別れたガールフレンドが居て
その前に別れたガールフレンドも居た
もちろん仲間はその一部始終も知っているから
自然にしながらも気分は重くなった
それにしても、なんという青空、
人気のない海水浴場、
ゆらゆらとした眺めの中に、
水面はきらきらと輝いていた
海の家のポンコツのスピーカーからは、期せずして
来生たかおの「浅い夢」
僕は砂の上で休み波間の仲間たちを見ながら、
じっと耳を傾けていた
今でも夏になると決まってそいつを思い出すんだ