くちなし

昨日、職場で仕事をしていると
大奥さんが声をかけてきて
「大江さん、くちなし、持ってかえる?」
以前も、紅葉を分けてもらったりしている。
どうもずぼらな僕は、幾つかを枯らしてしまったりで、
申し訳ない。

その、くちなしは
庭の隅の方の朽ちた発泡スチロールの箱に陣取っていた
持ち上げようとすると、まるっきり動かない
見ると、小さなプラスチックの植木鉢から、
その発泡スチロールの底を突き破って
縦横無尽に土のほうへ根っこが張り付いている
結局、その箱を粉砕することとなった。

なんという生命力。
生命へのこだわり。
こいつに比べれば
なんてヨワッチイ自分だろう、と思った。
きっと、こんな根っこにぐるぐる巻きにされたら
とうにキュウキュウ言ってしまっているだろう。

「植えるときはね、この長い根っこを
丸めるようにして植えるのよ」
「はじめは水をたくさんやるようにしてね」
とアドバイスを貰う。

次の日、我が家で、
この間のナルシス君の横の
ごく狭い土の場所へ。
ナルシス君も、もうだいぶ、伸びてきた。
まぎれも無く、秋の、どまんなかだ。

こんなとき、何かしら、恋が、なくては・・。


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